ユニバーサルデザインはどのように定義されているのか?
ユニバーサルデザイン(以下、UD)の定義を確認する上で、まず把握しようと思ったのが、UD7原則です。
UD7原則は、ロナルド・メイス らが提唱したUDの基本的な考え方です。
理解を深めるために、7原則の1つ1つについて、「駅の改札」に絞った具体例を用いて記載してみました。
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- ①誰にでも公平に利用できること
- ②使う上で自由度が高いこと
- ③使い方が単純ですぐわかること
- ④必要な情報がすぐ理解できること
- ⑤うっかりミスや危険につながらないこと
- ⑥少ない力で楽に使用できること
- ⑦アクセスしやすい大きさとスペースを確保すること
①誰にでも公平に利用できること
様々な人にとって有用であり、有益である
例)駅のIC改札
駅の改札は、ICカードに対応したものが増えました。
切符が不要となったことで、カードを読み取り部にかざすだけで、多くの人がスムーズに改札を通ることができます。
荷物を抱えた人や、手先が不自由な人にとっては、かざすだけの動作でスムーズに通過できます。
②使う上で自由度が高いこと
使う人の様々な好みや能力に合うように設計する
例)駅の改札
上述したICカード対応の改札は、多くの人が利用するようになっています。
しかし、新しい技術が万人に受け入れられるということはありません。
IC専用の改札のみにはならず、切符用の改札も残り続けています。
使う人はどちらも選択可能です。
③使い方が単純ですぐわかること
使う人の知識や言語、集中のレベルに関係なく、理解しやすい
例)改札の切符投入口
切符の投入口は、黄色の口になっており、この中にこの大きさの何かを入れると良い、ということが分かりやすいです。
④必要な情報がすぐ理解できること
使う人の状況の能力に関係なく、必要な情報を伝達する
例)改札の切符投入口
上述した切符投入口付近では、矢印を用いてここに投入する、ということをより正確に伝えています。
新幹線の改札では、乗車券と特急券を2枚同時に入れることが明記してある場合もありますね。
画像では、漢字で「投入口」と記載してありますが、「Ticket」と記載してある場合もあり、日本語が分からない方でも理解ができます。
⑤うっかりミスや危険につながらないこと
うっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果つながらない
例)改札の切符投入の向き
感覚的に、切符の表を上にして投入することが多いと思います。
多くの改札では、切符を投入する際に、裏向きで投入しても問題がありません。
更に、出てくる際には表向きになっています。
利用者の意図しない動作に対しても、危険にはつながりません。
この仕組みを調べてみると、過去に世界一受けたい授業で紹介されており、バックナンバーがありましたので紹介しておきます。
改札機は裏返しの切符をどうやって表にしている?
⑥少ない力で楽に使用できること
効率よく、気持ちよく、疲れにくい
例)駅のIC改札
切符売り場では、路線図と金額を確認し、切符を発券するまでに時間がかかります。
ICカードでは、毎回切符を購入する操作が不要であり、効率よくスムーズに改札を通過できます。
⑦アクセスしやすい大きさとスペースを確保すること
どんな体格、姿勢、移動能力でも利用できる
例)幅が広い改札
改札の広さは、一般的には55cm程度が標準のようですが、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)※により、公共交通機関でバリアフリー化がすすめられています。
これにより、車いすやベビーカーが通れる90cm以上の幅の改札を目にすることが増えました。
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このように駅1つ見ても、様々な部分にUDの考えが取り入れられていると改めて思います。