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【アイデアから商品ができるまで】商品が世の中に受け入れられるには時間がかかる?

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こんなものができたらいいな♪

 

…というアイデア着想から、実際に商品ができるまでには多くの時間がかかります。

 

企業は常に新しい製品を世の中に出していますが、それが世に出るまでには数カ月、数年かかることが多いです。

 

更に、革新的な技術が商品化して世の中に受け入れられるまでには、20~30年、更には1世紀かけてようやく受け入れられるような場合もあります。

 

今回は、商品が世の中に普及するまでについて、調べてみました。

 

 

 

 

タッチパネルディスプレイが世の中に普及するまで

2000年代初めの携帯電話やタブレット端末の普及は、私たちの暮らしを大変便利にしてくれました。

 

このような製品の開発は、とても革新的なものであったと感じられます。

 

しかし、科学技術者にとっては、必ずしも革新的なことではなかったと思われます。

 

マルチタッチパネルディスプレイ※は、1980年代には海外で開発されていました。

※同時に押された複数の指の圧力の位置を検出するタッチパネルディスプレイ

 

その後日本でも製品化され、研究所等に売れ、そこから多くの開発がされています。

 

世の中の目に触れるまでに、なぜ時間がかかったのかといいますと…

 

研究の技術を消費者への製品として、安価で信頼性のあるものに仕上げるために20~30年程かかってたようです。

 

初期の製品は、高価で信頼性も低く、そこからの企業努力で、現在の安価で信頼性の高い製品につながっていきました。

 

古い技術も残存する(洗濯機の例)

新しいテクノロジーが普及したことにより、全てが新しいものに一気に変わるということはありません。

 

例えば、洗濯機は、手動のものから、自動化され、現在は全自動化されてるものもあります。

 

洗いからすすぎ、脱水、乾燥まで全てを自動で行ってくれる洗濯機により生活は大変便利になりました。

 

しかしながら、手動洗濯機がなくなったかというとそうではありません。

 

更に、現在でも洗濯板を見かけることもあると思います。

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このように、全てが新しいものに取って代わるのではなく、古い技術も残り続けていきます。

 

まとめ

現代、テクノロジーは目まぐるしく発達しており、変化も急速です。

 

数年前に着想し、現在取り組んでいることが、すでに「時代遅れ」となっていることもあります。

 

それに対して、人や文化の変化は非常にゆっくりとしています。

 

即ち、技術革新は急速に進む一方で、世の中へ浸透はゆっくりであり、古きものが消え去るのは更にゆっくりと言えます。

 

 

参考文献

誰のためのデザイン? D.A.ノーマン著

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【小さな改善が大きな革新へ?】漸進的・急進的イノベーションとは

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会社に入ったら世の中をあっと言わせるこういう商品を開発したい!

こういう技術で困っている人を助けたい!

 

学生の頃、特に就職活動をする頃に、誰もが夢を持って働くことを思い描いているでしょう。

 

しかし、いざ入社して働いてみると、小さな改善や開発しかしていない。

 

もっと大きなことをしたいのに…と思う方もいるのではないでしょうか。

 

入社数年間は、会社を知って業務に慣れる期間でもあるため、大きな経験ができないということもあるかと思います。

 

しかし、ずっとこのままではどうだろうか?夢が実現できるだろうか?

 

ある程度業務を経験すると、こういったことを考えますよね。

 

 

 

 

イノベーションの2つの形態

そんなことを思う中で、私の愛読書である「誰のためのデザイン?」(D.A.ノーマン)の中に、製品のイノベーション(技術革新)の形態について、著者の考えが記載されていました。

 

製品のイノベーションには2つの形態がある。

1つは自然でゆっくりとした進化的プロセスをたどる。(漸進的)

もう1つは急進的な新規開発によって達成される。(急進的)

イノベーションというと急進的な大きな変化だと思いがちだが、最もよくあるのは、小さくて漸進的なものである。

 

以上の考えを、上述した就職前後の思いで考えてみますと…

 

就職前に思い描いているような、想像がしやすく目で見て分かりやすい大きな変革は、急進的なイノベーションになると思われます。

 

就職後に経験する、小さな改善や開発は、漸進的なイノベーションになるかと思います。

 

自動車のイノベーションの例

同書の中には、自動車のイノベーションの例が示されていました。

 

ベンツの自動車は急進的なイノベーションであった。

最初のアメリカの自動車会社はデュエリーであるが、2,3年しか続かなかった。

ベンツの自動車自体は急進的であったが、導入以来、持続的にゆっくり着実に改良。

今日の自動車が、快適で安全で、それほど高くないのは漸進的な増強のおかげ。

 

確かに、今日の自動車は多くの人が手軽に入手でき、役立っています。

 

この背景には、多くの自動車メーカーが長年重ねてきた改良があったものだと思うと、漸進的なイノベーションの重要さが分かります。

 

まとめ

同書では、「急進的なイノベーションは生活と産業を変え、漸進的なイノベーションはものごとを良くする。どちらも必要だ。」と言っています。

 

普段行っている物事の小改善も、積み重ねることで大きなイノベーションになり得ると感じました。

 

少々思い悩んだ際に、こういったことを考え見ると更にやる気が出てきますね!

【脳が文章を補正?】タイポグリセミア現象とは

脳が文章を補正する?タイポグリセミア現象とは

 

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みさなん こちんには

さそっく ですが うえがのぞう は なんと かあている か よめすまか?

 

ん?何かおかしいですかね?

 

よくよく見てみると、でたらめな文章になっていることが分かると思います。

 

しかし、なんとなく読めてしまったのではないでしょうか?

 

これは、タイポグリセミア(Typoglycemia)現象と呼ばれています。

 

 

 

タイポグリセミア現象とは?

タイポグリセミア現象とは、文章中の単語で、最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても、正しく読めてしまう現象のことです。

 

これまでの経験から、脳が単語を予測し、瞬時に補正して読むことができてしまいます。

 

上述の例で文章を正しく書いてみると、以下のようになります。

 

修正前(タイポグリセミア)

みさなん こちんには

さそっく ですが うえがのぞう は なんと かあている か よめすまか?

 

修正後(正しい文章)

なさん こんにち

っそく ですが うえのがぞう は なんと かいてある か よめますか?

 

なぜ、こういったことが起きるのかということについては、科学的には解明されていないようです。

 

経験により補正されるということですので、ひらがなを覚えたての子供では、この現象が起きないかもしれませんね。

 

タイポグリセミアが発生する条件

日本語の文章でタイポグリセミアが発生するには、いくつか条件があります。

 

①各単語の文字数を4~6文字にする

②3文字以下の単語は並び替えない

③各単語は、ひらがな、カタカナ、漢字のいずれかに統一する

④読み手が知らない言葉は使わない

 

前述した文章も、この条件をもとに作成しました。

 

広告への活用例

このタイポグリセミア現象を調べていると、富山県の老舗どら焼き店「中尾清月堂」の広告が出てきます。

 

商品であるどら焼きをリニューアルした際に、同現象を取り入れた広告を展開し、10日間で5万9200個を売り上げたようです。

 

このように、広告戦略にも活用され、成果を出しています。

 

私たち人間の生態については、まだまだ知られていないことがたくさんあります。

 

改めて、人間の特性を知り、商品に展開することは、面白いことであり、重要なことだと感じました。