病院内での会話が他の人に聞こえる?
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こんなことがありませんか?
病院の受付カウンターで症状を伝えたり、薬を受け取る際に、近くにいる人に自身と看護師さんの会話が聞こえているのでは、という心配がありませんか。
病院内は静かですが、会話の中で多くの個人情報が聞こえる場所でもあります。
カーテンで仕切られた病室では、隣の会話が丸聞こえなんてこともありますね。
医療現場で想定される個人情報を含む会話
病院や薬局、学校の保健室などの医療の現場では、他の人には聞かれたくないような個人情報が飛び交います。
例えば下記のようなもの。
・病院の受付で他の人の病名や説明
・病院の診療室で隣り合ったベッドの会話
・薬局のレジで他の人が購入した薬名や説明
・学校の保健室で他の人の会話
これらの会話ですが、別の音を被せることで周りに聞こえづらくすることが可能です。
サウンドマスキング効果
コロナ禍で「マスク」という言葉は、日常でもあふれかえっていますが、音に関してもマスクという言葉があります。
ある音を、別の音を被せて聞こえづらくすることを「マスキング」と呼びます。
例1.電車のホームでの会話音
駅のホームで会話をしている時に電車がホームに入ると、会話の音は電車の音にかき消されて聞こえづらく(もしくは全く聞こえなく)なるとこがありますよね。
これも一種のマスキング効果です。
電車の音によって会話の音がマスクされています。
会話の音に対して電車の音が大きい程、マスキングの効果は高まります。
例2.MP3の圧縮技術
MP3は、音楽ファイルの容量を削減するために圧縮をする技術であり、聞きなれている方も多いのではないでしょうか。
実はこれもマスキング効果が活用されています。
同程度の高さの音の場合、高い音は低い音によってマスクされやすいことが知られています。
音楽の場合、様々な高さの音が聞こえますが、低く大きな音の次に高く小さな音がくると、後者の音は聞こえなく(聞こえにくく)なります。
この聞こえなくなった音を取り除いても、人の感じ方は変わらないだろう…ということから容量を小さくすることができます。
応用するには
医療現場に応用するには、スピーカーから音を出すことで会話の漏れを防ぐことができます。
ただし、環境に合わない大きな雑音だと不快です。
人が日常的に聴いても不快にならない音を選定する必要があります。
マスキング効果を高めるには、同程度の高さの音を用いるのが良いため、人の声の周波数に近い音を選ぶと良いでしょう。
また、音量もあまり大きすぎずに、聴いていて心地よい音が良さそうです。
下記のような技術が既に実用化されています。
以上のように、病院やレストラン、オフィスで意識することなく流れている小さなBGMも、スピーチプライバシーの保護に寄与していると考えられますね。